日本劇作家大会、今夏、上田市で開催。テーマは「街 まなび つながり」

 2019年8月16日(金)~19日(月)、演劇の一大イベント「日本劇作家大会2019上田大会」が上田市内で開催されます。その記者発表が、土屋陽一上田市長、日本劇作家協会会長で劇作・演出家・女優の渡辺えり氏、同協会理事で上田大会企画統括参与で劇作・演出家の坂手洋二氏、サントミューゼの津村卓館長が顔をそろえてサントミューゼにて行われました。
 劇作家大会は、日本全国の劇作家に加え、演出家・俳優・プランナーなど舞台芸術に携わるさまざまな人びとが一堂に会する4日間のイベント、演劇の祭典です。劇作や舞台芸術に関するあらゆるテーマを扱い、上演・リーディング・ワークショップ・セミナー・講座・シンポジウム・トークなど、すべてを見て回れないほどたくさんの企画が同時多発的に開催されます。冒頭、土屋市長が「参加者の皆さんに上田を知っていただき、またさまざまな人びとが交流していただくチャンス。劇作家大会を歴史に残るものとなるよう応援していきたいと思います」とあいさつしました。



津村卓館長 サントミューゼのある上田市 、長野県全体の演劇を高めていきたいといことで日本劇作家協会さんに劇作家大会の開催について話を進めさせていただきました。サントミューゼができたころは、上田の方々に演劇という部分に向き合っていただくということはまだまだ少なかったのですが、最近は市民の方々に参加していただきながら作品をつくったりということが頻繁にできるようになリマした。長野市、特に松本市は演劇というものを一つの核とした、都市における文化芸術というものを進められていらっしゃいますが、そんな中で上田市で日本劇作家大会を開催させていただくわけです。長野県全体の中で演劇というものを身近で、楽しく、面白いものにして行かれればと考えております。



津村卓館長


渡辺えり 私は演劇が大好きで、小学生のころからやっているんですけど、60歳を過ぎてもこんなに楽しいものはいまだにありません。かかわるみんなの力が一つになってものをつくり上げるというものは演劇しかないですね。一人では絶対にできません。しかもみんなが生きていないと、一つのものが素晴らしくはならない。昔から演劇は総合芸術と言われていますけど、これがまた非常に大変だけれど面白い。それを上田市の皆さん、長野県の皆さん、演劇が好きでいらっしゃるんですよね? 劇場を税金でつくられて安く提供してくださるのはとても素晴らしいことだと思います。
 私たち劇作家はとても地味な仕事なんです。誰に頼ることもできずに、たった一人で、もう死のうかとか自問自答しながら書いているわけです。その時は報われないんだけれども、それをもとに稽古していただいて、上演したときの快感! お客様が泣いて笑って拍手してくださるときの快感! あれに勝るものはあるんでしょうか? その一瞬でまた劇作がやめられなくなってしまう。演劇となんかは3日やったらやめられないと言いますけど、本当に病気かもしれないですよね。日本劇作家大会の4日間、8月16〜19日はみんなで演劇の病にかかりましょう。演劇に縁のない方も虜にしてしまいましょう。自由に楽しんでいただけたらと思います。


渡辺えり日本劇作家協会会長


坂手洋二 劇作家大会は94年の北九州が最初でした。北九州市が創造型の公共劇場、つまり、ものをつくることができる劇場を建てられまして、でもいきなり演劇だ劇場だと言っても誰もついてこないだろう、市民の皆さんがこの劇場が持っている可能性だとか、今やっていることがそのまま今後につながるように、そしてお互いに準備の段階からそれを共有する場をつくれないかということで、立ち上がったばかりの劇作家協会に相談を持ちかけてくださったんです。だったら劇作家が集まり、お客様が集まり、誰もが一緒になって参加できるイベントをやりましょうということでスタートしました。当時は小劇場という小さな劇団が元気に活動しておりました。それは大きなサイズではなく自分で手を伸ばせば届くものなわけです。お客さんにも届くし、街にも届く。何よりやっていることがすべて見渡せる規模なんです。その劇団は代表が劇作や演出も兼ねていますから、劇をつくる専門家。そういう人たちが集まって、何か交流できる内容を考えました。劇作家協会をつくったときに、東京や大阪だけではなく全国の方が参加できるということにしたんです。そして劇作家大会も実際にみんなが顔を合わせることができる場所をつくり、同時多発的にさまざまな企画を行い、非常に活発な演劇の未来を示すようなイベントとして成功しました。盛岡、札幌、豊岡、長久手、熊本、大分と開催してきましたが、地域で演劇にかかわっている人たちと出会う場、それを全国規模に広げる場になりました。そして今回は、サントミューゼさんがオープンから5年かけて培ったネットワークをお借りして、そうした素地の上に我々が劇作家大会をやらせていただきます。演劇は直接性、直に人が会う、双方向性が魅力です。そういう大会の持っている魅力を非常に落ち着いた雰囲気の中で発揮できる機会になるのではないかと思っております。


坂手洋二日本劇作家大会理事、上田大会企画統括参与



 上田大会のテーマは、「街 まなび つながり」です。その3つのテーマがクロスしながら連携し、深みのある劇作家大会を目指すと言います。詳細の内容は後日発表の予定。

 「劇場であり演劇というのはいろんなことをクロスオーバーさせる場所だと思うんです。劇作家大会をやることで、自分が演劇にかかわる意味はなんだろう、それを考えることが3つのテーマの先にあるものです。いろんな人がこの街にやってきます。この3つのテーマを立てることによって、プログラムの相互の関係性について、濃厚なプランを立てています。今まで以上に深いものにできそうな予感がしています。充実したものが楽しさにつながれば。演劇の軽いところ、重いところ、目まぐるしいところ、それ全部がうまく発揮できる大会にできればと考えています」

「劇作家が考え、案内してくれるツアー。演劇だけではないんですが、芸術というものが社会の課題を解決したり、子供の育成というところにものすごい力があるんだということが世界中で広まっています。私自身も演劇には潜在的な力があると思っています。演劇や劇場がそうしたものにどう向き合っていけるかをテーマに進めていきたいと思います」(津村)

 「長野県の中では演劇が盛んという背景がある中で、上田は後発で劇団も少ないということで、上田の演劇の街にしていくことを、いろんな街とのつながりからできるのではないか。つながるというのは世代もありますし、演劇と関係ないと思っていた方々とつながるということもあります。それらを上田の街の歴史を含めた、上田の街ならではのいろんな特性を生かして内容を検討していきたいと思っています」(坂手)


【参加劇作家】(予定)
渡辺えり 天野順一朗 奥田悟史 尾崎太祐 鏡味冨美子 鹿目由紀 絹川友梨 工藤千夏 くらもちひろゆき 黒岩力也 サカイリユカリ 坂手洋二 佐藤茂紀 篠原久美子 髙山さなえ 滝本祥生 土田英生 永高英雄 中津留章仁 中村勉 中村ノブアキ 楢原拓 西山水木 長谷川彩 はせひろいち 長谷基弘 原田一樹 平田オリザ ピンク地底人3号 藤﨑麻里 鮒田直也 前川知大 マキノノゾミ 丸尾聡 美崎理恵 村野玲子 八鍬健之介 山田裕幸 横山拓也 吉田康一 ほか