六九クラフトストリート Vol.5 「洗練と素朴」

2016年の風景より

一説には江戸のころ、54頭の馬を飼育する六九厩が置かれたことにその名が由来する六九通り。
商業の中心地として栄え、昭和には土蔵造りや看板建築が並ぶ通りにアーケードが架けられ、ハイカラな商店街として親しまれました。。


やがてまちは広がり、にぎわいは駅前へと遠ざかります。開発の波が松本のまちの土蔵をビルに変えるなか、にぎわいが遠のいた六九通りは、幸いにもその難を逃れ、新しいまちにはない陰影と奥行きをにじませます。
「六九クラフトストリート」では、そのまちなみに3日間だけ各地のギャラリーがやってきます。
利休もそうですし、柳宗悦もそうですが、日本の工芸の発展を担ってきたのは「作る手」だけではなく、「強い眼」の存在。クラフトフェアが作家中心であることから、それとは別にギャラリーという選者の眼を通した工芸が並ぶ場をもちたいと思ったことがはじまりです。



大人の手と、子供の手。洗練されたプロの技と、拙いけれど親しみのある素人性。もちろん洗練と素朴は対極にあるものではなく、一つのもののなかに共存しているもの。洗練でありながら、野を忘れず、素朴でありながら、普遍に通じる。常々そんな仕事がしたいと思っています。
【洗練】優雅・高尚なものにすること。 あかぬけした、みがきのかかったものにすること。
【素朴】性質などが飾りけなく、自然のままであること。



Roundabout/OUTBOUND @ LA CIENEGA east
 国内外の優れた生活用品を提供するRoundaboutと、やや非日常に針の振れた温度の品々を紹介するOUTBOUND、「日記」と「手紙」の関係にも似た2つの場所の要素を凝縮し、3日間限定の店舗を構えます。

森岡書店 @ ギャラリーA
 「一冊の本を売る書店」森岡書店松本店を開催いたします。一冊の本は、山本昌男さんの新しい写真集『Tori』。それに加えて小さな額装写真も展示販売いたします。山本さんの世界観をぜひご覧ください。

gallery yamahon @ 花屋ことの葉
 日本人は日常的に使う器に対して、愛情を持って接してきました。料理を美しく、美味しそうに盛り付けるための道具として、また器物をオブジェや彫刻といった美術的な鑑賞の対象として生活の身近なところで楽しんできました。今年は木工作家・紀平佳丈さん、陶芸家・大谷哲也さん、金工・金森正起さんの作品を中心にご紹介します。

工芸青花 @ やまや別館
 年に3冊、『工芸青花』という雑誌を作っています。ほかに講座や茶話会などの催事も行ない、また書籍や工芸品の制作、販売もしています。神楽坂で小さなギャラリーも始めました(新宿区横寺町31-13「一水寮」内)。松本では美術史家の金沢百枝さんとともに、金沢さんが選んだヨーロパの工芸品などを展示します。

さる山 @ やまや別館
 さる山店主の猿山修デザインのプロダクト、竹俣勇壱の金物、井山三希子の陶器、艸田正樹のガラスを中心に、六九クラフトストリートでお披露目となる新作も加わります。持つ人の暮らしの一部となるような、シンプルで飽きのこない品々をご紹介致します。

minä perhonen 松本店 @ 松本店+mm(ミリメートル)
 オリジナルのテキスタイルからデザインを広げるブランド「minä perhonen」。今年も、松本店と、はす向かいのスペース「mm」にて、楽しいアイテムをお祭りのようにご用意してお待ちいたしております。

10cm
 なんとなくしっくりくるモノがないから自分でつくる。あるいは時間をかけていいモノを探す。それを繰り返しながら10cmの品添えは決まります。三谷龍二の作品、新たに選んだもの、10cmオリジナルなどをご紹介します。
青空カフェ:
オオヤコーヒ tatin 岸本恵理子




連続トークショー 
◉日程:2017年5月26日(金)
◉会場:mm(ミリメートル) 松本市大手2−5−5
◉司会:菅野康晴
◉定員:各回50名
◉会費:1,000円(要予約)
◉予約:http://www.mina-perhonen.jp/metsa/EV/0183/
◉問い合わせ: ミナ・ペルホネン・インフォメーションデスク 03-5793-3700(11:00〜19:00 ※月曜休)


トーク1/ 11:00~12:00
「洗練と素朴」 分藤大翼 + 三谷龍二 + 皆川明
 作り手にとって洗練とは集中から生まれ素朴とは積み重ねから生まれるように思う。それは心から手に携えられていく同質で異型なものなのだろう。そのふたつは共振しながら美としての成り立ちへ向かっていくものだと私は思う。(皆川明)

トーク2/ 12:30~13:30
「デザインと手仕事」 竹俣勇壱 + 猿山修 + 森岡督行
柳宗理の言った『新幹線は民藝か』を考えることは、デザインと手仕事の境界や同一を考えることにつながると思います。今回はこれをテーマの一つとして、両者の特徴を探ってみたいと思います。今、そのあわいを考えることも含めて。(森岡督行)

トーク3/ 14:00~15:00
「ロマネスクとゴシック」 金沢百枝 + 菅野康晴
西洋中世のロマネスク(10‐12世紀)とゴシック(13‐14世紀)。対照的なふたつの美術/建築様式を比較しながら、素朴と洗練、地方と都市、工芸の多様性と画一性などを考えてゆきます。(菅野康晴)

トーク4/15:30~16:30
「竹籠とステンレス笊」 井出幸亮 + 小林和人 + 山本忠臣 
洗練の中に素朴を感じることは工芸の大きな魅力だと思います。工業製品に囲まれた現代の生活において、工芸という身近で小さなモノが太古から変わることのない自然を感じさせ、人の心に安堵を与える存在ともなっているのではないだろうか。(山本忠臣)

トーク5/17:00~18:00
「都市と地方」 串田和美 + 皆川明 + 三谷龍二 
都の活気と洗練されたセンスは、常に地方の憧れだった。でも、今の東京はどうだろう。活発な「発展?」は続いているが、一方で「東京に住む意味がわからない」と地方へ移り住む人が増えている。これからの都市と地方のあり方、あるいは「幸福のかたち」について考える。(三谷龍二)




インフォメーション

日程2017年5月26日(金)〜5月28日(日)
会場六九通り
時間11:00〜18:00(28日のみ 〜17:00)
詳細ホームページhttp://www.69-matsumoto.jp/information.html
プレイガイド

(トーク問い合わせ: ミナ・ペルホネン・インフォメーションデスク 03-5793-3700(11:00〜19:00 ※月曜休) 企画問い合わせ:

お問い合わせ先10cm Tel.0263-88-6210、 info-69@69-matsumoto.jp