『長野A(アート)ターン』⑥「わたしの身近な東京〜諏訪をつなぐArt その4〜」
「わたしの身近な東京〜諏訪をつなぐArt その4〜」
《ミナペルホネン×nuno*ito asobi/蔦屋T-site(代官山)》-」
地元岡谷に、面白くてすてきな仲間がいます。
彼女は高倉美保さんと言い、nuno*ito asobiという名前でクラフト作家活動をしています。
・・・と言いつつも、彼女との出会いはまだ浅く。
数年前、イルフ童画館(岡谷市)のワークショップのとき、
館の方から「パワフルな家族がいるから」と紹介されたのが、美保さんと息子のそうたくん、そしてお父さん、お母さん。
その頃はまだお互い、‘ヨソユキ’な間柄。
わたしたちが素で話すようになったのは、ここ1年ほど、いろんなイベントで頻繁に顔を合わせるようになってからだったか。
今となってはそんなことはもうどうでもいいほどに、わたしにとって大切な友人であり、尊敬すべき作家である。
そう、作家としての高倉美保。
彼女は、端切れやボタン、そしてゴム版などをつかって、そのパーツたちをかわいくて、時におそろしく、また楽しい人形、ブローチ、キーホルダー、バッグ、Tシャツなどに変えてしまう。
あるとき、彼女の作品がミナペルホネンの代表皆川明さんの目に留まった。
それは、松本で隔年開催されている《空中キャバレー》のマルシェに出店していたときのこと。
ミナペルホネンといえば、女鳥羽川近くに松本店がある。それゆえ、皆川さんご自身が松本を訪れるのは全く不思議ではないことなのだけれど、
数多あるイベント、そしてその中のマルシェ出店舗、さらに一つひとつの作品のなかから、皆川さんがnuno*ito asobiの人形を手に取ったというのは、
‘運命的な出逢い’のようなものだったのかもしれない。
それからどれくらいあとのことなのだろう。
昨年2015年初冬の長崎県美術館『1∞ ミナカケル-ミナペルホネンの今までとこれから-』展では、
小さな部屋いっぱいの(100体以上はあったでしょう)Nuno*ito人形たちが、展覧会に楽しさと躍動を与えていた。
あっという間にすてきな‘関係’が、ミナペルホネンとnuno*ito asobiの間に生まれていた。
そしてこれからどうなっていくのかなと思っていた矢先、東京・代官山に移転してきた記念として、
『隣に引っ越してきたミナペルホネンです。』(蔦屋T-site)を開催している中で、ミナの布をまとったnuno*ito人形たちが展示されることを聞いた。
地元の仲間がつくった作品の、東京進出。
それももちろんすばらしいことなのだけれど、
それよりも彼女と彼女の作品が、丁寧なものづくりで有名なミナペルホネンの皆川さんにしっかり認められている、というのが友として、何よりうれしいことだった。
現在、彼女は自身が企画するイベント(実は彼女は、岡谷の《たのしの森市》など大きなイベントを企画している側でもある)、参加するマルシェ、
そしてお子さんの行事などの合間に、つくる。ひとりでせっせせっせとつくっている。精力的に、そしてブレずに。
いったい月にどれほどの人形たちを生み出しているのだろう。
彼女の人形づくり。そしてできあがった人形たちは一体として同じものがなく、おかしく、不思議な名前をつけられてこの世に飛び出す。
美保さんも、人形とともに、羽ばたいてほしい。
そう思いつつ、
どこかへ飛んで行ってしまわないよう、気のおもむくまま自由に行ったり来たりする‘鳥’でいてほしいと、勝手ながら思うのである。
代官山で人形たちに会えるのは、今週末5月8日(日)まで。ぜひ、たくさんの人に見てほしい。
nuno*ito asobi というその名前を知ってほしい。
・・・
ご本人至って平常心ですが、‘友人’はあれやこれやと欲張りなのデス。
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『隣に引っ越してきたミナペルホネンです。』:
2016年04月20日(水)〜2016年05月08日(日)
蔦屋書店2号館 1階 ギャラリースペース
イルフ童画館
岡谷市にある武井武雄作品を中心に収蔵する童画美術館。館内の心地よい木のスペースや喫茶で行われるワークショップが秀逸。
ミナペルホネン(minä perhonen)
デザイナーの皆川明氏により、1995年に設立されたブランド。オリジナルの図案によるファブリックを作るところから服作りを進める。「minä」は「私」、「perhonen」は「ちょうちょ」を意味するフィンランド語。蝶の美しい羽のような図案を軽やかに作っていきたいという願いを込めている。(HPより抜粋)ミナペルホネン松本店
空中キャバレー
まつもと市民芸術館で2011、2013、そして2015年と隔年で開催されているエンターテインメント・イベント。演劇に、サーカスや音楽が融合し、楽しくて儚いパフォーマンスが繰り広げられている。(2015年の空中キャバレーのページより)
『1∞ ミナカケル-ミナペルホネンの今までとこれから-』展
2015年10月10日〜2015年12月6日 長崎県美術館