植村由理　写真個展【YURI UEMURA ” Portraits I 】

　独学で写真を学び、パレーズギャラリーのオープニング展示”Exhibition I”にも参加したサンフランシスコ在住の写真家・植村由理の個展。
これまでも数多くのストリート写真を撮り続けてきた彼女が被写体であるモデルたちと向き合った今作品は、我々の持っている矛盾した感情や美を受け止め表現しています。
　デジタルが当たり前になった時代に、大判カメラで撮る銀塩写真にこだわった作品は静かなる美しさ、迫力、深みを味わってください。

PORTRAITS I

　孤独と美、という表裏一体すると思われる概念について考えていた折、肌の荒れた、端正な顔立ちの男の子をみかけた。15分後に彼は私の家でカメラの前へ座り、レンズをじっと見つめていた。何を考えているのかと問うと、warms and danger、暖かみと危険、と言う。
私は彼との意思、感情、思考の交換をもとに、その本質を写そう試みる。
15枚の本作品連を並べ、写り手たちがどれだけのことを与えようとし、写し手がどれだけのことを受け入れ、どれだけ受け止められなかったかが現れたようで、これらを美しいと称える鑑賞者を余所目に私は泣きたくなった。　（植村由理）