長野市芸術館 アクトスペースチャレンジ2016[KENJI]《市民参加型・地域創作プログラム》出演者等募集

 いよいよ5月8日にオープンする長野市芸術館。
 <アクトスペースチャレンジ>と銘打ち、こけら落としに上演する、市民参加の演劇公演[KENJI]の出演者、スタッフを募集!


 長野市では初となる客席可変のフレキシブルな小劇場空間・アクトスペースを軸に、演劇練習室やアトリエ(作業場)などの創造支援施設を積極的に活用し、「市民の日常に根ざした自主運営的な舞台芸術創造の場」を目指す事業です。また今年度の事業は、長野市芸術館・アクトスペースのオープニング事業として実施するもので、アーティストと市民による「共同創作」および本格的な舞台芸術への市民参加に向けた先駆的試みと位置付け、開館以降に展開予定のさまざまな「地域の舞台芸術人材育成プログラム」への参加につなげるとともに、長野市の文化芸術の創造環境の充実と地域で創作される舞台芸術作品のクオリティの向上に資することを目的とします。

 今回、長野市芸術館では、元パパ・タラフマラ代表で、現在は「小池博史ブリッジプロジェクト」を立ち上げ、芸術における「創造」というキーワードを、単に作品創作のみに限定せず、【創作】【教育】【発信】の3つの活動を通して、人と人、地域と地域、文化と社会、過去から現在、未来へ、新しい時代を築くためのあらゆる事物の架け橋となることを目指して活動する小池博史を構成・演出・アートディレクションに迎え、生誕120年を迎える国民作家「宮沢賢治の世界」をモチーフにした作品を上演します。公募によるパフォーマーとサポートスタッフが、ホールのスタッフとともに約2週間かけて、一つの本格的な舞台作品を創作する企画です。
 舞台経験のある方はもちろん、未経験の方、また出演者だけでなく、舞台の仕込み・当日の運営をサポートするスタッフも募集します。


【創作のメインテーマ・演出家からのメッセージ】
創作のメインテーマ: 宮沢賢治の世界~生きるということ~

 宮沢賢治の作品創作を思い立ったのはずいぶん昔だが、創作に踏み切ろうと決意したのは2010年12月に岩手県北上市で公演を行ったときで、2011年1月時点では具体的に「注文の多い料理店」創作に向けてのメンバーを決定し、動き出していました。
 岩手の土地が創作を決意させ、強く私を後押ししました。あの、清澄な空気はしんしんと私の身体に染み入り、ああこの土地、この空気感が賢治を生み、作品世界に昇華したのだなあと思い、それは自然と人間がともに生きる意味を問いかけているようにすら感じたのです。
 そのすぐ後に起きたのがあの大災害です。自然の脅威は、人間が作り出した傲慢さをひとのみに飲み込んで、放射能汚染を起こし、その土地に帰れない人々をたくさん生み出してしまいました。そしてきわめて多くの人々に不安を与えています。私たちが生み出した、至極便利だと思い込んだ文明は私たち自身を根底から傷つけ、私たちが住む場所を何百年にも渡って帰還困難な地域にしてしまったのです。
 まるで「注文の多い料理店」のようではありませんか。遊びで動物を狩るために都会の男たちが嬉々として森に入り、嵐に遭うなか見つけた料理店に意気揚々入っていく、と、おいしい料理を食するための準備らしきオーダーが次々と出される。やれ靴を脱げ、鉄砲を置け、埃を払え……と。ここは素晴らしい高級レストランだから仕方がないのだなと納得させていると、逆にそれら行為は人間自身が食われるための準備だった……と知る。
 賢治は動物と人間の関係ばかりか、自然、向こうの世界、あの世、宇宙の果て……人間がなかなか想像できない世界を強く対称性を意識しながら描きました。
 現代では少し特殊に感じられるだろうこの考えですが、長い人類史に於いてはきわめて普遍的な思考です。私たちの祖先は皆、そうだった。それがさまざまな神話となって結実して世界中に残り、神話世界では人間だけが特別な世界に生きているのではない、対称の世界を描いています。
 今、「賢治を考える」とは、生きる意味を考えるに等しいと思います。昔々は当たり前のように実践していた事柄が今では特殊なこととなって隅に追いやられ、この世界にいると、まともな神経ではいられないような状態ばかりを目にし、耳にする羽目に陥る。こんな時代に生きる私たちは賢治を見直す必要があります。
 今回の[KENJI]の意味はそこにあります。「生きるということ」を、賢治を通し、自分自身の身体を通して、考えてみようではありませんか。


【企画スケジュール】
▽パフォーマー希望者&サポートスタッフ合同のワークショップ:2016年3月21日[月・祝]  ▽稽古:2016年4月29日[金・祝]・30日[土]・5月1日[日]・3日[火・祝]・4日[水・祝]・5日[木・祝]・7日[土]・8日[日]  ▽仕込み・舞台リハーサル:2016年5月9日[月]・10日[火] 
 *仕込みは昼、舞台リハーサルは夕方・夜を予定
▽本番:2016年5月11日[水]:公演①(*夜を予定)/12日[木]:公演②(*昼又は夕方を予定)
 *舞台リハーサル、本番期間中は必ず参加のこと。稽古期間中は事情を考慮して調整しますが、できる限り全日程参加してください。
 *5月11日・12日は、午後からの準備予定。


【募集について】
A:パフォーマー(出演者)オーディション
 [KENJI]にパフォーマー(出演者)として参加を希望する方を募集します。(舞台未経験者も可)
▽審査方法:書類審査・オーディション
▽オーディション日程:2016年3月21日[月・祝] ▽会場:長野市芸術館・アクトスペース(予定)
▽募集人数:10名(2016年4月1日時点で18歳~25歳の方)
▽参加費:無料
▽応募締切:2016年3月4日[金]17:00必着

B:サポートスタッフの募集
 ホールスタッフと一緒に、裏方として作品を創っていく仲間を募集します。(仕込みサポート、当日運営サポート、広報サポートなど)
▽審査方法:書類審査
▽事前オリエンテーション:2016年3月21日[月・祝] ▽会場:長野市芸術館・アクトスペース(予定)
▽応募資格:18歳以上の方、経験不問
▽参加費:無料
▽応募締切:2016年3月4日[金]17:00必着

*いずれもオーディション、オリエンテーション、ワークショップ、稽古、本番に係る会場までの交通費は各自で負担いただきます。

▽応募方法=「応募用紙」に必要事項をご記入の上、下記申込先に郵送していただくか、長野市芸術館内の財団事務所へ直接お持ちいただきますよう、よろしくお願いいたします。
▽お問合せ=一般財団法人長野市文化芸術振興財団 TEL026(219)3100
〒380-8512 長野市大字鶴賀緑町1613 
長野市芸術館 アクトスペースチャレンジ2016 [KENJI]担当宛


小池博史

小池博史