「制作の背景―文覚・デスペア・女―」展

 荻原守衛(号:碌山 1879〜1910年)の残した傑作《女》(1910年)は、相馬黒光への思いが制作の動機となっています。この作品をより深く理解する上で不可欠なのが《文覚》(1908年)《デスペア》(1909年)の二つの作品です。鎌倉の成就院に自刻像として伝わる木像に、文覚上人の苦悩を見て取り制作した《文覚》、女性の悲しみに打ちひしがれる姿に文字通り絶望(despair)を表わした《デスペア》には、当時の荻原の胸中が重ねられています。最後の作品《女》には、それらを昇華した高い精神性が感じられます。それはまた人間の尊厳の表象にもつながるものとなっています。


 個人的な思いを元にして作られた作品が普遍的な価値あるものとなっていることは、100年前の作品が現代の我々の心に響いていることからも容易にうなずくことができます。作品に普遍的価値をもたらした荻原の精神的な深さと芸術の高さ、またそれらの当時における新しさとを、多くの方々に感じ取ってください。


         

インフォメーション

日程2015年8月1日(土)~平成27年11月8日(日)
会場碌山美術館 第2展示棟
時間9:00~17:10(10月まで。11月以降は16:10)/会期中無休
チケット料金大人 700円/高校生300円/小中学生 150円 ※団体割引あり
詳細ホームページhttp://www.rokuzan.jp/
お問い合わせ先碌山美術館 Tel.0263-82-2094