小林英樹エッセイ「帰ってきた、えんげき先生(5)」〜あ~自分も気をつけなきゃって話〜

 1999年に始まった私の教師生活は、2011年に終了しました。この12年間を「劇団小林英樹」として舞台公演に例えれば、12年間、ほぼ365日の上演。本公演を1時間の授業とするならば、公演回数は約2万5000回。部活やその他の業務を番外公演またはアトリエ公演?いやカフェ公演?として、約4万3800回の公演。ここで気づくことは、本公演(授業)そのものより、その他の公演(業務)回数が多いこと(ただし、この数字はあくまでだいたいです)。
 
 日本演劇史上初の無期限ロングラン公演を継続している劇団四季の「ライオンキング」(以下「LK」)は、総公演回数1万321回(2021年12月時点)。
「劇団小林英樹」の総公演回数は約7万回なので、「LK」を簡単に上回っています。というバカな計算をしてみました。ちなみに私は「LK」を74回観劇していますので、もちろん「一人LK」できます。が、頼まれてもやりません。
 

 
そこで本題です。この長い「劇団小林英樹」の公演を終えた私は、たくさんの学校、企業に行くことが増えたわけです。長野県で言えば、北信東信中信南信、全地区の小中高にお邪魔して出前授業や講演会をさせていただいています。企業も関東から甲信越中心に社員研修に行かせていただいています。「劇団小林英樹」公演第2ステージってわけですね。
教師時代の言わば、第1ステージの時も他校に研究授業で行ったり、職場体験などでいろんな会社に行ったりして思っていたことではあるのですが、この第2ステージで正確な答えが見つかってきました。
それは、その学校の先生、その企業の人事の方や◯◯長と「長」がつく人の姿勢や身にまとうオーラ、光、パワーは、そこで生活する児童生徒、そこで働く社員に大きく影響を与えているということです。
 
「学校」で具体的に言いますと、玄関(昇降口)の様子、その周辺の花(花壇)の様子、下駄箱に並ぶ子どもたちの靴の様子、そして校長先生をはじめ先生方のお客様に対する挨拶や姿勢で学校の大体の雰囲気が分かるということです。
 
私のアンテナでいろいろキャッチした時、即座に思考します。想像します。
「あ~先生方激務なんだろうなぁ」
「ストレスだらけなんだろうなぁ」
「おっ風通しのいいコミュニケーションできてるんですね」
「ろくに挨拶できない大人(先生)が子どもたちには『挨拶しなさい』とか言っちゃってるんだろうなぁ」
「顔つき暗っ!」
「大変な毎日だけど、スイッチ入れて笑顔で接してる!素敵」
「おっとけっこう大きなゴミが!素通りする先生!はい、私拾っておきまーす」
「そんなに遠くから大きな声で!気持ちいいけども。若い先生ハツラツね!」
とかとかね。
 
挨拶が出来ない学校、先生は本当稀ですけど。かなり私の記憶に残っている学校が2校くらいあるんです。
やっぱり挨拶に関しては、企業の方が素晴らしいと感じています。
とまあ、ここ10年以上でたくさんの学校、企業に行かせていただいて、その中の人、もっと言うならその中の大人や肩書が偉い人の生活スタイル、仕事に対する姿勢、信念などが本当に大切なんだって思いました。
そして、ここで頑張る大人たち同士のコミュニケーションこそが要なんだと強く感じます。
 

 
いつだか、教師間いじめでニュースに長くあがっていた事例がありましたが、大人たちがそうなら、教育活動なんてうまくいくわけもなく、そんなのすぐ子どもたちは見抜きますものね。見てないようでかなり見ている子どもたちをナメてはいけないんですよね。
とまあ、好き勝手書いてしまいましたが、結局のところ、私だって気をつけなきゃいけなくて、誰かを見た時、誰かと接した時、それは「鏡」なんだと肝に銘じて生きていきたいです。
「あ~自分もしっかりやらなきゃな」って。
 
「人は自分を映し出す鏡」なんて言われますが、人を見て、「気を付けよう」とか「それは良くない」とか「正義感」が発動したり、「いいなぁ」とか「すごいなぁ」とか「肯定的な感情」が湧いたりします。それは「自分の価値観が人に映し出されている」んですよね。人を見て、本来の自分を見つめる機会を与えてくれたんだと思うようにします。
で、結局、「ありがとうございます」という感謝に繋がるわけです。
ありがとうございます。
 

 

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