アール・デコのガラス工芸 「ルネ・ラリック」―特別出品:皇室が愛したラリック―

花瓶《ナディカ》

 2013年に開館30周年を迎えた北澤美術館では、2013年のガレ展、2014年のドーム展に続き、記念特別展第3弾としてコレクションの3本柱のひとつに数え上げられるルネ・ラリック(1860‐1945)の収蔵品を紹介する展覧会を開催。

 アール・デコのガラス工芸家として知られるラリックは、前半生をジュエリー制作者として過ごし、世紀末アール・ヌーヴォーのジュエリー、1920年代を中心とするアール・デコのガラス工芸と、ふたつの時代にふたつの分野で頂点を極めた類まれな工芸家。1910年ごろからガラス工芸を手掛けたラリックは、アール・ヌーヴォーのガレやドームとは対照的に、ガラスのもつ透明な美しさに着目し、光の効果を引き出す彫刻的な造形で新しい流行を生み出しました。鋳型を活用した独自のガラス製法は、芸術性を損なうことなく製品の量産を可能にし、半世紀以上にわたり工芸界の課題とされてきた「芸術と産業」の両立に貢献しました。一方身近な生活用品から野外噴水まで、あらゆる分野に創造の翼を広げて輝く未来への希望を演出しました。

 本展では、北澤美術館秘蔵のラリック・コレクションから代表作約150点を選び、ガラス工芸家ラリックの全容をご紹介いたします。あわせて我が国にもたらされた作品の中から、最も早い大正10年に皇太子裕仁親王(後の昭和天皇)が外遊先のパリから大臣方への土産として持ち帰られた花瓶《インコ》一対をはじめ、「アール・デコの館」として知られる朝香宮邸ゆかりの作品、昭和天皇の弟君・秩父宮雍仁親王が英国王ジョージ6世の戴冠式に出席された際に友人へのロンドン土産として購入された馬頭型のカーマスコット≪ロンシャン≫など、普段公開されていない皇室ゆかりの作品を特別展示いたします。

 アール・デコのガラス工芸家として一世を風靡したラリックが、日本の皇族方にも愛されていた貴重な歴史を振り返りながら、その魅力をお楽しみいただきます。

インフォメーション

日程2015 年 4 月 1 日(水)〜11月29日(日)
会場北澤美術館(諏訪市湖岸通り1-13-28)
時間9 月まで:9:00〜18:00(10月〜11月:9:00〜17:00(入場は閉館の30分前まで)/会期中無休
チケット料金大人1,000 円/中学生500 円/小学生以下無料 ※団体割引あり
詳細ホームページhttp://kitazawamuseum.kitz.co.jp/index.shtml
お問い合わせ先北澤美術館 Tel.0266-58-6000