海を渡った画家たち – コレクションの軌跡 –

堂本尚郎「1959-12」

「海を渡った画家たち」をコンセプトに収集された、今年開館10年目を迎える軽井沢現代美術館によるコレクションの系譜を作品とともに展望する企画。
同美術館の創設者・谷川憲正は、長きに渡りオープンスペースをイメージモデルとした美術館構想を掲げ、作品の収集を続けてきた。テーマは、日本を離れ、諸外国を制作の拠点としたアーティスト。それも短期間の洋行ではなく、生まれ育った母国に戻らない覚悟とともに異国の地で美術運動に心血を注ぎ、一生を捧げた者たち。20世紀初頭に渡仏し、エコール・ド・パリの寵児となった藤田嗣治は、その後に続くあまたの画家たちへの道を作った。当時保守的だった日本の美術界に異論を呈し、パリ、ニューヨークを中心に次々と台頭する新しい様式を追い求め、あえて棘の道を進んだ日本人たち。彼らは向かった制作の地で互いに交流し、刺激を受け合い、自らのナショナリティーやマイノリティーを反芻しながら歴史に名を刻んでいった。フランスへ渡った田淵安一、佐藤敬、鬼頭曄、今井俊満、堂本尚郎。アメリカにアトリエを構えたイサムノグチ、猪熊弦一郎。彼らの功績は日本国内においても、第二次大戦後にヨーロッパで旋風を巻き起こした前衛芸術運動「アンフォルメル」の日本における一例として評価された「具体美術協会」や、同時期の大きな動向として知られる「もの派」の作家たちへと続く重要な布石となったのだ。現在も各国でその名を轟かせる草間彌生、奈良美智、村上隆も、日本国内に留まることなく常に「世界」と闘う革新者として、たすきを繋いでいると言える。もがき苦しみながらも芸術への情熱を忘れることのなかった「海を渡った画家たち」のみなぎる英気が70余点の作品から感じられる。



【出展作家(50音順)】
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イサムノグチ
猪熊弦一郎
今井俊満
草間彌生
佐藤敬
白髪一雄
関根伸夫
田淵安一
堂本尚郎
奈良美智
藤田嗣治
松谷武判
村上隆
ロッカクアヤコ
ほか




インフォメーション

日程2017年4月27日(木)〜11月23日(木・祝)
会場軽井沢現代美術館
時間10:00〜17:00/火・水曜休館(GW及び、夏期は無休)
チケット料金大人1,000円/65歳以上・大・高生800円/中小学生500円/未就学児無料 ※お茶のサービスあり
詳細ホームページhttp://moca-karuizawa.jp/
お問い合わせ先軽井沢現代美術館 Tel.0267-31-5141