コレクション名品展「月映 TSUKUHAE」

恩地孝四郎「月映Ⅵ 表紙」(1915年、木版画)

公刊『月映』は、恩地孝四郎、田中恭吉、藤森静雄の3人による自画・自刻の木版画と詩の同人誌です。
機械刷りによる200部限定で1914(大正3)年9月から1915(大正4)年11月まで、計7集が洛陽堂を出版元として刊行されました。
創作版画誌として先駆的なもののひとつです。  
死におびえ、魂を削るように作品を刻む田中恭吉。彼の絶望を共にかかえることとなった恩地と藤森も、内面や感情の表現を深めてゆきます。やがて、恩地の表現は日本で最初期の抽象表現へと達しました。若者たちの研ぎ澄まされた感性は、100年余を経てなお私たちの心に、強く痛切に響いてきます。



【プロフィール】

田中恭吉(1892-1915)
1892年に和歌山県和歌山市に生まれる。1910年、白馬会原町洋画研究所に入所し、1911年に東京美術学校予備科日本画科志望に入学。萩原朔太郎の詩集の装幀を頼まれるが、結核のため衰弱、1915年に郷里で亡くなる。遺作が恩地の手により萩原の詩集『月に吠える』に用いられた。


藤森静雄(1891-1943)
1891年に福岡県久留米市に生まれる。1910年、白馬会原町洋画研究所に入り、1911年に東京美術学校予備科西洋画科志望に入学、1916年に東京美術学校を卒業。帰郷し中学校の教師となるが、再び上京し、日本創作版画協会や日本版画協会の創立に参加、春陽会にも出品した。1943年没。


恩地孝四郎(1891-1955)
1891年に東京に生まれる。1910年、東京美術学校予備科西洋画科志望に入学、1911年、予備科彫刻科塑造部志望に入学。1918年に日本創作版画協会の、1931年には日本版画協会の創立に尽力。のち国画会会員となる。創作版画の推進者として活躍し、装幀や油彩画も手がけた。1955年没。




インフォメーション

日程2016年9月29日(木)〜11月28日(月)
会場須坂版画美術館
時間9:00~17:00(入館は16:30まで)/水曜休館
チケット料金入館料300円/中学生以下無料  ※団体割引あり
詳細ホームページhttp://www.culture-suzaka.or.jp/hanga/
お問い合わせ先須坂版画美術館 Tel.026-248-6633