上條信山×池上百竹亭×田村一男 トリプルアタック！〜コレクションとの新たな出会い〜

松本市美術館は約2,300点余りの作品を収蔵しています。
その中にまとまった数の作品で構成されたいくつかのコレクションがあり、美術館の根幹を成しています。
特に、松本市生まれの上條信山が追い求めた書の世界、山や高原をこよなく愛し描き続けた洋画家・田村一男の作品、そして池上喜作(百竹亭)の蒐集した文芸美術資料、それらは各記念室で、年３回、掘り下げたテーマの少数ラインナップで公開されています。

今回、この３つのコレクションがそろって、いつもの部屋を基点に、より広く天上高のある展示空間へ飛び出しそれぞれの魅力を声高に主張します。
二人の作家（上條信山と田村一男）が生涯を通じて持ち続けた気概が、いかにまっすぐで輝いていたか、また池上百竹亭コレクションでは、文人たちが人生における清らかな遊びの心を、達観した境地でいかに示したかをたどります。

作品展示に底流するキーワードは、「光」。
色や形態としてのみではなく、人の心根を貫くものとして、明るくのどかに温かく、ときに鋭く鮮烈に現れる「ヒカリ」を感じとってください。

03上條信山《遊月》1982

■アタック1!／上條信山 ― 筆墨の光 ―
　パソコンやワープロによる活字のあふれるなか、手書きや筆文字の価値とは一体どこに存在するのでしょう。私たちが書作品を鑑賞するとき、はじめに何という字や言葉が書かれているのか、その意味に注目しがちですが、その前に文字そのものや空間としての「美しさ」を考えてみませんか。
　「アタック1!」では、上條信山作品を通じて、いくつかのポイントを提案します。信山の書作品と語りあい、筆墨が放つ「光」をあなた自身の目で見つけ出していただきます。

06黒田辰秋《金鎌倉　捻梅香合》

■アタック2!／池上百竹亭 ― 光の春 ―
　池上百竹亭コレクションは、松本の文人・池上喜作が生涯にわたって蒐集した近代文芸資料を中心とする200余のコレクションの総称です。コレクションの中でも特に正岡子規とその門人らによる歌や絵画からは、四季折々の美しい情景が感じられます。
　「アタック2!」では、きらりと光る文人たちの粋な遊び心を覗きながら、 少し早い春を探しにいきます。喜びに満ち溢れた春、のどかで穏やかな春、 でもどこか寂しい春-個性豊かな池上コレクションの世界から放たれる多 様な「光の春」を体感してください。

09田村一男《丘》1962

■アタック3!／田村一男 ― 光をめぐる旅 ―
　信州をはじめ、日本の高原や山の風景をひたすら描き続けてきた洋画家の田村一男。特に、秋の終わりから春がはじまる季節を好んで描きました。大きな画面に広がる風景は、静かでものさびしいようですが、にじみでるような「光」を感じることができます。
　「アタック3!」では、ひたすら向き合ってきた自然と田村との対話をとおして、「光」をめぐる旅へでかけましょう。

【関連イベント】
『ワークショップ 組紐講座 「トリプルアタック!」より』
▽日時：３月６日（日）13:30〜16:30
▽会場：講座室・市民アトリエ、企画展示室
▽講師：道明三保子（文化学園大学名誉教授）
▽対象：小学校５年生から大人まで
▽定員:15名
▽料金：1,000円
▽申込:２月13日（土）から美術館へ

『アートレクチャー学芸講座』
①「田村一男の生涯と作品」
▽日時:２月25日（木）13:30〜15:00
▽講師:武藤美紀（当館学芸員）
②「池上百竹亭コレクションにみる日本書画の扱いと鑑賞」
▽日時:３月３日（木）13:30〜15:00
▽特別講師:名児耶明（五島美術館副館長）
▽対談者:細萱禮子（当館学芸員）
③「上條信山 人と作品」
▽日時:３月10日（木）13:30〜15:00
▽講師:大島武（当館学芸員）
［①〜③共通］
▽会場：講座室
▽定員：各回40名
▽料金:無料
▽申込:２月13日（土）から美術館へ

『学芸員によるギャラリートーク』
▽日時:２月21日（日）、３月20日（日）各日14:00〜
▽料金:無料（ただし、当日有効の観覧券が必要です)
▽定員:各回20名程度
▽申込:不要　※展覧会会場入口前に集合。

『はじめてのびじゅつかんさんぽ　「探検!びじゅつかん!」』
▽日時:３月23日（水）１０:30〜11:00
▽対象:２歳から６歳までのお子さんとその保護者
▽定員:10組
▽料金:無料
▽申込:２月13日（土）から美術館へ